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デザイン思考をベースに創造性を育てる高校 ー デザインテックハイスクール

先日、創造性や実際に物を作るスキルを身につけさせることに重点を置いたチャータースクール「Design Tech High School」を訪問する機会があったので、その様子をお伝えしたい。

Design Tech High School正面

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チャータースクールとは

まず、チャータースクールとは何かということを簡単に。

アメリカの教育システムは日本のそれと色々異なることが多いのだが、その違いに一つに、チャーター・スクールの存在がある。これは、現存の学校に満足しない保護者や教育者などが独自の学校を立ち上げ運営するもので、マネジメント次第では廃校もすぐ隣り合わせ。なので、通常の営利企業のように、ビジネス感覚も大いに要求される。

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スタートアップとしての学校・学校としてのスタートアップ

2014年に、まだ校舎もない構想段階のDesign Tech High Schoolの代表とミーティングした。目的は運転資金の調達のため。学校を創設と言っても、ほぼほぼ流れはスタートアップである。私の知っている教育関連のとある大企業と引き合わせたが、残念ながらその時は出資を得るには至らなかった。

それからバタバタと月日が流れ、今回ひょんな事からまたその学校を訪問することになったのだが、驚いたことに、この学校は去年Oracleから巨額の寄付で($43M = およそ40億円)建てられた校舎に引越しており、充実した施設と他にあまり例を見ない授業内容でカリフォルニア屈指のチャータースクールとなっていた。

今は晴れてカリフォルニアの公立高校のライセンスも取得したDesign Tech High School (d.tech)なのだが、話をきくと、ここまで来るのに、通常のスタートアップ同様チャレンジングな道のりだったらしい。

最初はMilbrae市にある公立高校の一角を借りてスタートし、その後元自動車修理工場の跡地に移転して細々と運営を続ける。それがOracleとの提携で一発逆転・劇的な変化を遂げる。

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特徴的なカリキュラム

最初はまさしくゼロからのスタートだったので、初年度は希望する学生はほとんど入れたらしい。しかし施設が充実して抽選制度となった今、かなりの競争率になっているという。

ちなみに、シリコンバレーの一部の地域では、日本以上に異常な詰め込み型教育がエスカレートしており、ストレスから自殺する高校生が続いたことがあり、地元で社会問題となったこともある。そういったところと比較して、チャータースクールのd.techの校風は一言で表すといい意味で”ゆるい感じ”。相当生徒の自主性に任せているのがわかる。

IMG_6811

廊下でチームミーティングをする生徒たち

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デザインテックという名前を冠しているだけあって、カリキュラムはSTEM関係のクラスが非常に充実している。DRG(Design Realization Garage)という工作室があるのだが、そこには3D印刷機やCADシステム、その他ものづくりに必要なツールがひとしきり揃っている充実ぶりで、そこを生徒は自由に使うことができる。そういった実技重視のところな日本の高専に似ているかも。

DRG(Design Realization Garage)という工作室       高価な製作ツールも

だが、d.techの実技科目はそういった技術系に止まらない。一般科目の合間に、様々なソフトスキルを磨く授業が用意されている。

当校の看板科目であるデザインシンキングのクラスをのぞいてみたが、そのロジックを生徒がしっかり理解した上で、各チームのプロジェクトに落とし込んでいるのがよくわかった。

デザイン思考のワークショップ 各チームに一人以上のボランティア講師がつく。

IMG_6824

デザイン思考を使って、家族間のコミュニケーション・ツールを開発しようとしているチーム

また、現役第一線で働く社会人(Oracleの社員がボランティアとして授業をサポートしたり、学校外の地元の団体が生徒を一時的に受け入れたりしている)からリアルなビジネスを直に学べるコースが組み込まれている。いわゆるオンザジョブトレーニングの高校生版。

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創業者のken Montgomery

創業者のKenはシリコンバレーmのスタートアップ業界によくいる自己顕示欲が強い感じではなく、温厚で控えめな人柄。だが、事業化が難しいエデュテックの分野に置いて、理念を形にする意思の強さ・粘り強さが本当に素晴らしいと感じた。

また、それをサポートする周りのコミュニティの力も大きいと思う。最初に間借りしていたMilbraeの高校のスタッフが、Oracleの教育担当者につないだことで、提携の話につながったらしい。そのOracleは(このスポンサーシップが大きな宣伝効果につながることを否定しないだろうが)、学校運営にはほとんど口は出さないという。様々な形で助け合いの精神が息づいているのがわかる(それが偽善と取られるかもしれないが、偽善だけでは教育事業がここまで育つのは難しいだろう)。

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d.techの今の形が果たして教育機関として最適ものなのかはまだ誰にもわからない。この6月に初めて卒業生が巣立ち、卒業生がどんなパスを辿っていくかである程度見えてくるだろうけれど、Kenは今後も根気強く学校を運営しながら絶え間ない改善を図っていくのだと思う。

ともあれ、今回この学校の授業を見学して、リアルで最新・高度のスキルを教えられる講師陣、学校を支えるコミュニティ・ボランティア、充実した施設に圧倒されたし、変化のスピードが相当早くなった現代に於いて、学校の外(一般企業の会社員、地元コミュニティなど)とのボーダーラインが実質なくなりダイレクトに繋がったこの学校の仕組みは、これからアメリカに限らず増えていく気がする。 Wiredの記事は、「このシリコンバレーの高校は究極のインキュベーター」というタイトルが付いているけれど、これからの時代、高校がそういう役割を担っていくんだろうと思う。

学校のサイトはこちら

Wiredにのった、当校の記事はこちら

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